中段の構え|なぎなた ていねい解説

なぎなた

なぎなた競技における「構え」とは

なぎなたを始めて、最初に身に着けるのが「構え」です。

構えとは、自分の身を守り相手を攻撃するための基本動作です。これは心構えと身構えとがそなわった状態です。基本の構えには中段・下段・八相・脇・上段の5つの構えがあります。

全日本なぎなた連盟編 スポーツVコース「新なぎなた教室」大修館書店 2003年発行

「中段の構え」とは

試合競技の場合、お互いに中段の構えから試合を開始します。試合終了の際は、お互いに中段に構え直してから、自然体に戻り、立礼をします。

同じく演技競技も全ての本数において、お互いに中段の構えから動作が始まり、最後は相中段で終わります。

このように中段の構えは試合競技、演技競技ともに、最もよく使用する構えです。

強さの差が出る「中段の構え」

中段の構えとは、すべての動作の基本となる構えです。中段の構えには左右2種類の構えがありますが、通常は最初に左中段(左足が前)に構えます。詳しい動作手順は後ほど解説していきます。

一見シンプルで簡単な構えですが、だからこそ差が出ます。少し大袈裟かもしれませんが、試合競技も演技競技も初めに中段に構えた瞬間、勝敗が見えてしまうほどです

強そうな正しい構えと弱く見えてしまう構えでは、一体どのような違いがあるのでしょうか?

「中段の構え」の良い例と悪い例

次項で良い例さんと悪い例さんを比較してみましょう!

たかが構え、されど構え

側面からの視点|中段の構え

良い例
悪い例

正面からの視点|中段の構え

良い例
悪い例

良い例と悪い例を見比べると、良い例のほうが明らかに強そうに見えませんか?

分かりやすいように今回は悪い例をかなり大袈裟にしました。仮に良い例さんと悪い例さんの試合があった場合、中段に構えた瞬間に、見ている皆が勝敗を悟ることでしょう…

逆に、悪い例さんは中段の構えを修正するだけで、ぐーんとレベルアップできるはずです。私が高校・大学・社会人 計3つのなぎなた教室で経験してきた初心者さんあるあるを詰め込んだ中段の構えが今回の悪い例さんです。

次項では、中段の構えの動作手順を詳しく解説していきます。

中段の構えの動作手順

左足が前に出る中段の構えを「左中段」、右足が前に出るのを「右中段」といいます。ここでは左中段の動作手順について、解説します。

自然体から左中段に構える手順

  1. 自然体から左手を右手の上方にかけてなぎなたを握る。
  2. 左足を肩幅と同じくらい前に出しながら体を左側に向け、半身になる。
  3. 切先(なぎなたの先端)を前方に倒し、右手を石突のほうにスライドさせ握り、後足側の内ももあたりに右手を軽くつける。石突は前腕の長さほど残し、切先は自分の体の中心の延長線上にあり、自分(相手)のみぞおちの高さにつける。

※自然体から右中段(右足が前)に構える場合は、上記の動作を左右反転してください。

悪い例の修正点

側面からの視点
正面からの視点
  • 上半身が後ろに反り、後ろ重心になってしまっているので、体の軸を真っ直ぐにしましょう。前重心になりすぎも良くありません。
  • アゴは常に少し引いておきましょう。そして相手から目線を外さないよう意識しましょう。隙がなく、いつでも打突に入れる状態が整い、緊張感が生まれます。
  • 脇を締め、肩の余計な力は抜きます腕でなぎなたを持ち上げないように注意しましょう。力を入れるのは軸手のみです。前手はあくまで添えるだけです。力んでしまうと肩が上がってしまいます。
  • 上半身が前に向かないように意識しましょう。上半身が前を向いている場合、後ろ肩が体の内側に入ってきてしまっていることが多いです。肩を背中側に引きましょう。正面から見た時、後ろ肩はほぼ見えない状態が正しい姿勢です。体になぎなたを添わせ、軸手は後方の内もも辺りです。内ももから軸手が離れないよう注意しましょう。
  • 軸手のなぎなたを握る位置の目安は、前腕(手から肘)の長さと同じくらいです。短かくても、長くても違和感がありますので、自然体から中段に構える練習を何度も行い、軸手を正しい位置で握れるようにしましょう。
  • なぎなたを握るとき、ドラえもんのような手(グーの手)で握らず、手のひらが他人から見えないくらい、手のひらをなぎなたに添わせて握ります。この時、なぎなたの刃部は地面側に向けます。
  • なぎなたの切先を常に自分の体の中心の延長線上に置くことで、相手との間合いを保ち、攻撃を防ぎます。この時、半身の状態でつま先と視線は常に相手に向けておきます。悪い例のように体の中心を切先で守れていないと、打突部位がガラ空きで隙だらけになってしまいます。
  • 足の裏はベターっとかかとまで着けてはいけません。つま先(特に親指あたり)で床を掴むイメージを持ちます。かかとは床に触れず、紙1枚分浮かせておくイメージです。つま先で床を掴むことで次の動作に瞬時に移ることができます。しかし、やり過ぎてつま先立ちになってしまうのも良くありません。

以上の修正を行えば、悪い例さんも正しい中段の構えができるようになるかと思います。

切先で自分の中心を守りつつ相手に向ける

また今回は詳しく解説していませんが、中段の構えだけでなく自然体から中段の構えに移る過程においても、隙のない緊張感を出すポイントがあります。なぎなたの切先で自分の中心を守りながら、常に相手に向けることです。自然体で切先が天井に向いている状態から、切先を中段の位置に移動させる際は隙をつくらないため、自分の中心線を通る最短距離の軌跡で素早く相手に切先を向けます。これは、なぎなたの全ての動作に共通する重要なポイントですので、頭の片隅に置いておいていただけたら幸いです。

<中段の構え> まとめ

ここまで正しい中段の構え方を解説してきました。

大きな鏡の前で構えの研究をしてみてはいかがでしょうか。しかし自分自身では見つけられない修正点もあるかと思います。演技競技でペアの人に正面からの視点で見てもらったり、側面からの視点で動画を撮ったりして、客観的に自分の動きを見てみるのもおすすめです。

強そうなオーラのある中段の構えをぜひ研究してみてください。

この記事が皆さんの「中段の構え」のお役に立てたら嬉しいです。



この記事を書いた人:竹ねこ

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