私の実家では、とぎれとぎれですが猫を飼っていました。
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白黒ハチワレのはなちゃんと一緒に暮らしていたころ、同居していた父方の祖母の認知症が始まりました。
猫と「忘れちゃう」哀しみを共有する祖母
猫は長く家にいる人に懐くもので、はなちゃんはよく祖母の隣に座っていました。
祖母ははなちゃんと頭を優しくポンポン撫でながら、いつも、
「バカ、バカ、バカ、バカ、お前はバカだ」って言っていました。
ちょうど、物忘れが始まったころでした。
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なんだか、ひどい話のようにも思えますが・・・
祖母は自分自身が衰えて変わっていってしまうことが不安で、はなちゃんに「バカ、バカ」って言っていたような気がします。
こうやって、忘れちゃうことの哀しみを共有できる相手がいるということは、祖母にとって幸せなことだったのかもしれません。
認知症が辛いのは人間だから?
猫の認知症
長生きをして18歳を過ぎると、猫にも認知症の症状が現れるといいます。
はなちゃんはてんかんという脳の病気があって、最後は痙攣の発作が治まらずにまだ若いうちに死んでしまいました。
実家ではなちゃんの次に飼っていたななちゃんは23年も生きたので、多分最後は認知症だったんだと思います。
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夜中に大きな声でニャーニャー鳴いたり、トイレの手前におしっこがしてあったりしました。
あまり食べないなと思えば、すごくたくさん食べることもありました。
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でも、ごはんが食べれて、トイレに行ければ、あんまり不自由もなく暮らしていたみたいです。
段々弱っていって1日中寝ているようになりましたが、最後の日は家族が帰ってくるのを玄関まで迎えに出て、顔を見てから亡くなりました。
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ななちゃんは認知症になっても不幸ではなかった気がします。
人間の認知症
一方祖母は、ななちゃんが来たころには認知症がかなり進んでいて、迷子になったり、転んで大きな痣をつくったりもしていました。
徐々に祖母の認知症は進み、寝たきりになり、最後は思い出したように呼吸をして、息が止まって亡くなりました。
でも、一番切なそうだったのは、やっぱり物忘れが始まったころ。
人間の認知症で一番本人が辛い時期は、「いつもの自分」と「忘れる自分」の境界線にいる認知症初期のころなのではないかと思います。
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