1人目の子育ては「初めて」の連続です。おむつを替えたりミルクを飲ませたりといった毎日の生活も、初めのうちはひとつ一つの動作に緊張してしまうものです。これは、赤ちゃんを大事に思っているからこそ。少しも恥ずかしいことではないのです。
赤ちゃんとの生活に戸惑っている方や、これから赤ちゃんを迎える方のために、赤ちゃんとの生活のストレスと、この時期の乗り切り方をご紹介します。
赤ちゃんとの生活でのストレスになることは?
ひとりで決めて、ひとりでやらなければならない
赤ちゃんと2人きりで過ごしていると、毎日たくさんの小さな判断をしなければなりません。
「おむつを替えるか替えないか」
「授乳中に赤ちゃんが寝てしまったら、起こして飲ませるか、ゲップをさせてそのまま寝かせるか」
「服を何枚重ねるのか」「室温をあげるかどうか」など、
数えてみると、赤ちゃんのお世話では毎日、100回に近い判断をしているのです。
この膨大な判断をひとりでするだけでなく、決めたこともひとりでやらなければならないのが「ワンオペ育児」。
自分の判断が正しかったのかどうかのフィードバックがないことも子育てのストレスのひとつです。
誰とも話さず1日が終わる
日中のほとんどの時間を赤ちゃんと2人きりで過ごす「密室育児」では、「気が付いたら1日中大人と話さなかった」ということが少なくありません。
パートナーの帰宅が遅かったり、帰宅後もゲームやネットに夢中になってしまっていたりすると、何日もまともな会話をしていないということもあるかもしれません。
誰とも話さない状況では、負の感情が堂々巡りしてしまうため、ストレスが大きくなります。
自分の時間がない、ペースを乱される
「何か食べようとすると赤ちゃんがぐずる」と感じることはありませんか。
赤ちゃんがいる生活では、自分の時間を作ることが難しいものです。就業時間が決まっている仕事のようにON-OFFを切り替ることができないことは、周りが思っている以上にストレスなものです。
買い物はネットショッピングでできても、友達とのランチや、美容院や歯科などに気楽にいけなくなることもストレスが溜まってしまう原因になります。
仕事や家事が前のようにできない
家事やお仕事であれば、ToDoリストを作って集中してひとつずつ片づけていけば「終わった!」という達成感を持つことができます。しかし赤ちゃんは家事やお仕事が終わるのをも待ってはくれません。気が付いたら、あっちもこっちも中途半端なんて言うことは日常茶飯事です。
達成感が持ちにくいこともストレスを感じる原因になります。
体がキツイ|睡眠不足、腰痛や腱鞘炎
赤ちゃんのお世話をしていると夜間に何度も起こされることがあります。
また、だんだん重くなる赤ちゃんを抱いていて腰痛や腱鞘炎を起こしてしまう場合もあります。
他の赤ちゃんと比べてしまう
乳幼児健診や同じ時期に生まれた他の子、兄弟姉妹の同じ時期、他の赤ちゃんと比べ焦りを感じてしまうことがあります。SNSで他の人が上手に子育てをしている様子や独身の友人が楽しんでいる様子が、楽しそうな写真と共に流れてくるのを眺めて取り残されたような気持になってしまうこともあります。
赤ちゃんとの生活でのストレスコントロール
パターンを決めておき100%をめざさない
育児情報誌やSNSなどには子育てに関するさまざまな情報があります。祖父母世代からもいろいろな助言があるかもしれませんね。でも育児の方法は時代とともに変わっていくもの。
「赤ちゃんにとって一番良い方法を」とがんばってしまいがちですが、選ぶ基準に「私が楽なほうはどっち?」という視点も加えてもよいのです。
ひとつ一つのお世話に迷ってしまうものですが、「背中に指を入れてみて汗をかいていたら1枚脱がす」「2/3以上飲み終えていれば無理しない」などのマイルールを決めておくと気持ちが楽になるかもしれません。
相談相手を複数持つ
もちろん、パートナーが一番の相談相手であってほしいものですが、他にも相談する場所が必要です。
相談先が複数あることでストレス緩和だけでなく、問題を解決する際にも役立つのです。姉妹や先輩ママなどの中から話していて辛くならない相手を選ぶとよいでしょう。
それでも、なかなか解決しない悩みや、深刻な悩みは、プロに相談に乗ってもらえる自治体の子育て支援センターなどがおすすめです。もちろん、「ミルクが足りてるか心配」「なんで泣いているのか分からない」といった悩みの相談についても、子育て支援センターでアドバイスをもらえます。
自分で自分をほめる、赤ちゃんにアテレコする
1日中赤ちゃんのお世話をしているだけで100近いタスクをこなしています。1日1回は「今日もがんばった」と自分をほめることが大切です。赤ちゃんのご機嫌がよいときに「ママありがとう」「大好き」などとアテレコして、ほめてもらったことにするのもいいですね。
「気持ちよく泣いている」と思うようにする
泣くということはストレス発散んになるものです。でも、大人になると「大声で泣く」ということはできなくなります。実際、2歳ぐらいになると周りの反応を意識しながら泣いている場合もあります。
そういう意味では、あたりかまわず泣ける、生まれてから数年は貴重な時期です。
精神的に追い詰められていくと、赤ちゃんが泣いているのを「責められている」と感じてしまうことがあります。おむつとミルク、どこか痛くないか、温度は適切かを確認して問題がなければ「気持ちよく泣いているな」と思うようにすると、気持ちが楽になりますよ。
パートナーに赤ちゃんの世話をしてもらう
赤ちゃんのお世話の大変さは、やってみなければわかりません。パートナーに短時間でも見てもらうことで子育ての大変さを分かってもらうということは、体が休まる以上に精神的なサポートになります。
自分の体のメンテナンスも忘れずに
ついつい後回しになってしまう自分自身のこと。
特に産後の1年間は体調不良を感じたら我慢せずに受診することが大切です。
美容院や歯科なども、赤ちゃんと一緒に利用できたり、託児施設があったりする場所もありますので調べてみましょう。赤ちゃんの一時保育などを利用する方法もあります。
ストレッチはリフレッシュにも効果があり、自分を整えてくれますので、1つでも2つでも生活に取り入れるとよいでしょう。
子育て支援の制度を使ってリフレッシュ
ママがリフレッシュすることは赤ちゃんにとっても大切です。
ほとんどの自治体には、買い物や病院、美容院に行く際などの数時間、赤ちゃんの面倒をみてもらえる制度があります。さらに最近では、出産前後の家事や育児のお手伝いをしてくれるヘルパーの派遣事業をしている自治体も増えています。
- 産前産後ヘルパー派遣事業:自宅にヘルパーに来てもらう
- 乳幼児の一時保育:保育園で時間単位で子どもを預かってもらう
- ファミリーサポートセンター:提供会員の家で預かってもらう
いずれも、お住いの自治体のホームページでさがしてみたり、子育て支援センターに問い合わせてみたりするとすぐに分かります。
他人と比べない
子育て中の他の人や、他の赤ちゃんの様子は参考にはなりますが、自分や自分の赤ちゃんと比べることはやめましょう。思考の基準が他人になってしまうことで見えなくなってしまうこともあるのです。
自分がSNSをストレスに感じていると思ったら、少し離れてみることが必要なときもあります。
特に赤ちゃんの成長には個人差がありますので、「比べるのは過去のその赤ちゃん自身」と決めておくことで、焦らず、しっかりわが子の成長を感じることができるでしょう。
出産前後に気持ちが沈み込むのは、マタニティブルーの可能性も!
マタニティブルーは妊娠から出産前後までの間に女性の体の中で起こるホルモンの激変で生じる不安定な精神状態です。ふとした不安をきっけに、悲しくなって涙が止まらなくなったり、絶望的な気持ちになってしまったりすることもあります。
出産直前から出産後の数週間で特に起こりやすい状態で、体の中のホルモンバランスに慣れていくことで改善していきます。でも中には、妊娠初期から始まったり、出産後1年ほど続いたりする場合もあり、産後うつやうつ病に移行していくことがないとは言えません。
自分自身が限界だと感じたり、「まだ頑張れる」と思っていても下のようなサインが見られたら、早急に子育て支援センターや精神保健の専門機関に相談しましょう。
<すぐに子育てや精神保健の専門機関に相談が必要なサイン>
- 気持ちが落ち込んだまま1カ月以上回復しない
- 「死にたい」「この子さえいなければ」という絶望的な気持ちになる
- ベッドから出ることができないほど気力がなくなる
遠慮しないで人に頼ろう!
赤ちゃん時期の子育ては、ある程度先を見通すことができるストレスです。はじめはドキドキハラハラだった赤ちゃんのお世話も、首が座るころには慣れてきて気持ちが楽になり、お座りするころには体が楽になり、歩くようになると少しだけゆとりが出てきます。
遠慮なく相談したり、助けを求めたりして乗り切ってくださいね!
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