介護で仕事は辞めないで!|地域密着型サービスとは?

介護

親の介護が必要になったとき、不安に感じるのは「介護をしながら仕事を続けられるか」「お金はどのくらいかかるのか」ということです。

親の介護で仕事を辞めてしまうのは、介護者の経済面・精神面を考えると、できるだけ避けたいもの。

とはいえ、働き続けるために施設入所を検討してみても、入所できる施設がすぐには見つかるとは限りません。

介護保険サービスの仕組みと、在宅介護で仕事を辞めなくても済むお助けメニューについてご紹介します。

介護保険サービスの仕組み

介護保険っていくらでも使えるの?

介護保険サービスを利用する際には、ケアマネジャーに依頼して必要なサービスの調整とプラン作成をしてもらうことが一般的です。介護者が地域包括支援センターの助けを借りてケアプランを作成することもできないことはありませんが、各種調整が大変です。

介護保険制度では、介護度毎に「支給限度額」が決められていますので、支給限度額をこえてサービスを利用することができない仕組みになっています。

2019年度の介護度別支給限度額

  • 要支援1 支給限度額 50,320円 1割負担 5,032円
  • 要支援2 支給限度額105,310円 1割負担10,531円
  • 要介護1 支給限度額167,650円 1割負担16,765円
  • 要介護2 支給限度額197,050円 1割負担19,705円
  • 要介護3 支給限度額270,480円 1割負担27,048円
  • 要介護4 支給限度額309,380円 1割負担30,938円
  • 要介護5 支給限度額362,170円 1割負担36,217円

他の人は、どんなサービスを組み合わせているの?

介護者が仕事に行っている時間帯を埋めるために「毎日デイサービスを使う」、「平日はすべてショートステイを使う」などのケアプランはたてられません。また、地域の状況によっては、デイサービスやショートステイの空きがなく、支給限度額が残っていても利用できないという場合もあります。

そのため、デイサービスのない日にはヘルパーさんに来てもらう訪問介護を組み合わせたり、限度額いっぱいまでデイサービスやショートステイを使って、自費のヘルパーさんを利用したりしてつなぐ場合が多いようです。中には協力者が多ければ家族がローテーションを組んで、なんとか対応している場合もあります。

でも、認知症で徘徊や火の不始末があったり、寝たきりになり生活すべてに介助が必要な状態になるなど、ひとりにしておけない状況になると働きながらの在宅介護に限界を感じてしまうという方は少なくありません。

働きながら在宅介護を続けるお助けメニュー!地域密着型介護サービス

「もう仕事を辞めないと無理かもしれない」「介護をしながら働くのは難しい」とあきらめて仕事を辞めてしまう前に、2006年から創設された「地域密着型介護サービス」について調べてみましょう。

地域密着型介護サービスとは

地域密着型介護サービスは、できるだけ住み慣れた地域で暮らし続けることができるように、サービス内容に柔軟性があるのが特徴です。事業所のある区市町村の住民が利用することができるとされています。デイサービス(通所介護)やヘルパーによる訪問介護は、さらに範囲を狭めて事業所のある場所が生活圏となる人にのみ対応している場合も少なくありません。

通所と泊まり、ヘルパーによる訪問介護が一体化「小規模多機能型居宅介護」

率直に言えば、在宅での生活が難しくなったら入所してもらうのが一番、安心して働けます。でも、空きがなかったり、心の準備ができていないなどの理由で、「まだ入所できないけれど、従来の介護保険サービスでは働き続けることができない」という場合には、 地域密着型介護サービス の小規模多機能型居宅介護を利用することをおすすめします。

小規模多機能型居宅介護のおすすめポイント

小規模多機能型居宅介護 は、通所と泊まり、 ヘルパーによる訪問介護、配食が一体化 した複合型のサービスです。通所と泊まりにも上限が設けられていないので、連泊してもらってしのいだり、平日は毎日デイサービスに通ってもらうことも可能です。

送迎時間などにも柔軟に対応してもらえるので、残業のある日には泊まりにしてもらったり、夕食を提供してもらって夜の7時ごろに迎えに行ったりという対応をしてもらえるので、働き続けたいという介護者にはピッタリのサービスです。

通所サービスも1日の利用者は18人未満と少なめの定員なので、家庭的な雰囲気です。

小規模多機能型居宅介護で注意したいこと

ただし、小規模多機能型居宅介護を利用している間は、その事業所のケアマネジャーにプラン作成を依頼することになっており、ケアマネジャーを選ぶことはできません。また、他の事業所のデイサービスに通ったり、ショートステイを利用したりすることもできませんので注意が必要です。

他の通所介護や短期入所に比べるとやや高めに設定されています。

利用料金はどれくらい?

利用料金は介護度毎に決まっていて、サービスをたくさん使っても少ししか使わなくても変わりません。この利用料金に、使った分のサービスにかかった費用がプラスされます。

小規模多機能居宅介護の利用料金
  • 要支援1 1割負担 3,438円
  • 要支援2 1割負担 6,948円
  • 要介護1 1割負担 10,423円
  • 要介護2 1割負担15,318円
  • 要介護3 1割負担 22,283円
  • 要介護4 1割負担 24,593円
  • 要介護5 1割負担 27,117円
サービス利用時にかかる費用の目安(施設によって異なります)
  • 食費 1食600円程度 1日1,000円程度
  • 宿泊費 1泊3,000円程度
  • おむつ代や消耗品代など 500円程度

ピチちゃんの場合で比べてみると?

現在ピチちゃんは、要介護3、おむつ使用で、月に7日間×2回の老人保健施設のショートステイを利用して、月に4万円前後を支払います。

同じ日数を小規模多機能型居宅介護を利用したとして計算してみると、約8万5千円、今の倍の費用がかかることが分かります。

  • 利用料22,283円
  • 食費1,000×14=14,000円
  • 宿泊費3,000×14=42,000円
  • おむつ代など500×14=7,000円

働き続けるために使うのであればもう少し回数も増やさなければなりませんので10万円程度と見積もってよいでしょう。

医療的なケアや24時間対応が必要な人のためのサービス

地域密着型介護サービスには、 医療的なケアを必要とする人や24時間、夜間もケアを必要とする人のためのサービスもあります。

  • 夜間対応型訪問介護
  • 定期巡回・随時対応型訪問介護看護(24時間地域循環型訪問サービス)
  • 看護小規模多機能型居宅介護

地域密着型介護サービスの入所型のサービス

地域密着型介護サービスには、グループホームや老人ホームなどの見守りのある場所で暮らす、いわゆる入所型のサービスもあります。

  • 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
  • 地域密着型特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなど)
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護(小規模な特別養護老人ホーム)

「介護のために仕事を辞める」と決める前に

親が常に介護が必要にな状態になった際に、「仕事を続けたい」という気持ちが少しでもあるのなら、小規模多機能ホームを試してみてはいかがでしょう。

小規模多機能型居宅介護のサービス提供を行う事業所を利用しながら、特別養護老人ホームや有料老人ホーム、グループホームなどの空きを待っている人は少なくありません。

平日は朝昼晩の3食をホームで食べてもっらうという方法もありますし、配食サービスでしのぐこともできます。

インターネットなどで調べて、まずは、お近くの小規模多機能居宅介護事業所か地域包括支援センターに相談してみましょう。

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