誤嚥性肺炎に注意!おいしく食べて元気に暮らそう

介護

お年寄りの介護で気を付けたいのが、水分や食物をうまく飲み込めずに間違って気道に入ってしまう「誤嚥(ごえん)」です。

嚥下(飲み込み)の仕組みと、誤嚥の予防や対処法、お年寄りの介護食と離乳食の違いについてもご紹介します。

誤嚥性肺炎とは?

厚生労働省の調査によれば、肺炎で入院する人のうち、70代では7割、80代では8割以上、90代以降では9割以上の人が誤嚥性肺炎と診断されています。

○ 肺炎患者の約7割が75歳以上の高齢者。また、高齢者の肺炎のうち、7割以上が誤嚥性肺炎。
○ 誤嚥性肺炎を引き起こす嚥下障害の原因疾患は脳卒中が約6割を占め、脳卒中の後遺症が誤嚥性肺炎の発生に大きく関係していることが示唆される。

2.高齢化に伴い増加する疾患への対応について 第2回在宅医療及び医療・介護連携に関するWG資料2-1
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000135467.pdf

誤嚥性肺炎で食べられなくなったり、入院してしまったりすることで、体の機能や脳の機能が衰えてしまうことも少なくありません。

つまり、誤嚥性肺炎を予防することは、介護されているお年寄りの生活の質を上げるだけでなく、介護している人の負担がおもくなることを防ぐことができるのです。

「飲み込み」の仕組みはどうなっているの?

呼吸をする鼻と、水分や食物を摂る口は喉の奥でつながっています。

隣り合わせで境目も緩やかな気道と食道では、食べたり飲んだりしたときに気道にも水分や食べ物が流れ込んでしまいます。これを防ぐために、飲食の際には「喉頭蓋」と呼ばれるフタが反射的に気道の入り口をガードするようにできています。

人間は他の動物に比べると、気道の入り口と食道の入り口が接近しているといわれています。これは言葉を話すための特殊な構造であり、息をはいて口の中に音を反響させることで、いろいろな言葉を作ることができるように、気道と境目が低くなっているのです。

このため、若い人でも、水分や食物が誤って気道に流れ込んでムセてしまうことはしまうことが少なくありません。

なぜ、うまく飲み込めなくなるの?|誤嚥が起こりやすくなる理由

「食事中や会話中にむせこんでしまって苦しかった」という誤嚥体験がある人は多いものですが、特に、年齢を重ねて次のような機能低下がみられるようになると、誤嚥が起こりやすくなります。

  • 脳血管疾患後遺症
  • 噛む力の低下
  • 唾液量の低下
  • 嚥下反射の遅れ
  • 筋力の低下

脳血管疾患後遺症

脳出血や脳梗塞の後遺症では、体を動かす際のバランスが崩れたり、反射機能がうまく働かなくなったりして、うまく話せない・食べれないといった症状が残ります。喉頭蓋の反射機能も低下するので、誤嚥が多くなってしまうのです。

嚙む力の低下

顎など口周辺の筋肉や歯列や歯肉に問題があると、食物を十分に咀嚼することができなくなり、粗く砕いて丸飲みするような状況になってしまいます。口の中でよく唾液と混ぜ合わせない状態で、パラパラとしたものを飲み込むことになりますので、食物のかけらが気道に入りやすくなってしまいます。

唾液量の低下

お年寄りに顕著なのが、唾液量の低下です。離乳時期の赤ちゃんは、常に唾液が溢れるように出ている状態なので、ビスケットなども唾液でふやかして上手に飲み込めますが、お年寄りの場合にはビスケットをかみ砕いた際の粉なども誤嚥の原因になってしまうので注意が必要です。

嚥下反射の遅れ

脳血管疾患後遺症がなくても、年齢と共に動きが緩慢になるものです。意識せずに行っている喉頭蓋の反射機能も同様で、食事中におしゃべりに夢中になってしまうと、言葉の音を作るために気道から息を吐く動きと、食物や水分を食道に送る動きを同時に行わなければならないので、喉頭蓋の動きが間に合わなくなってしまいます。

筋力の低下

筋力が低下すると、喉元から食道に食物や水分を送る機能も衰えます。口の中や喉元に食物のかけらが残っている状態のままおしゃべりをしたり、眠ったりするとそのかけらを吸い込んで誤嚥してしまうことがあります。

筋力の低下が進んでしまうと、自分の唾液や胃液などが気管に入り込んでしまうこともあり、症状も少なく、本人も自覚がないまま誤嚥性肺炎につながることがあります。

予備力の少ない高齢者では命にかかわることもあります。

飲み込む力のチェック方法

誤嚥しやすい状態になっているかどうかは、口や喉の状況や食事の様子を観察すると分かります。

口や喉の状態からチェックする

  • 口の中が乾燥している
  • 息をする際に喉がゴロゴロ鳴る
  • よく咳き込む
  • 度々、熱を出す
  • 痰が多い

食事の様子からチェックする

  • ムセることがよくある
  • 食事に時間がかかる
  • 食事を口の中に入れてから飲み込むまでに時間がかかる
  • 自分から食べようとしない
  • 口の中に食べ物が残ったままになっていることがある
  • 食事の後にガラガラ声になる

誤嚥を防ぐために気を付けたいこと

誤嚥しないようにするためには、どのような配慮をすればよいのでしょうか。

食事の前にお口の体操をする

普段あまり話をせず、表情も乏しい人ほど口周辺の筋肉が衰えていて誤嚥しやすくなります。食事の前に、口を大きく動かす「ぱ」「た」「か」「ら」の音を発生したり、舌で歯と唇の間をなぞってみたりする口腔体操を行うと効果的です

また、食後だけでなく、食前にブクブクうがいをするのも効果があります。

飲み込みやすい姿勢で食べる

猫背になってしまったり、逆に頭をそらしてしまったりすると、食物や水分が食道に流れにくくなってしまいます。やや前かがみで食卓を見ながら食べるようにすると飲み込みやすい姿勢になり舞うs。

特に、食事介助が必要な人では、首の部分を後ろに反らせる、いわゆる「気道確保」の姿勢で介助してしまうと、誤嚥のリスクが一気に高まります。ベッド上やリクライニングの車いすで食事介助をする際には、頭頂と肩のラインが一直線になるように、枕などで調整することが大切です。

誤嚥しやすい食品を避ける

誤嚥しやすい食品には、水分が少ないものやパラパラしているものなどがあります。

口の中でまとまりにくいもの

水分が少ないパン屋カステラ、クッキー、イモ類、ゆで卵などを食べる際には、水分を含ませたりペースト状にすると食べやすくなります。

また、ナッツ類やゴマ、豆類など、パラパラするものは、期間に入りやすいので注意が必要です。基本的に、幼児やお年寄りにはナッツ類は与えない方がよいでしょう。

焼きのりやワカメ、生野菜などは、口の中に貼りついてしまうことがあるので注意が必要です。

ツルっとすべって崩れにくいもの

こんにゃくゼリーが代表的ですが、なめこや桃の缶詰、刺身、ところてん、こんにゃくなど、口の中でツルっとすべってのどに流れてしまい、崩れにくい食べ物は、誤嚥だけでなく窒息の原因にもなることもあります。

酸味が強いもの

強い酸味の味付けは、喉から鼻に抜けてムセを引き起こします。ムセて息を吸い込んだ際に、口の中のものを吸い込んでしまい誤嚥につながります。人によって異なりますが、酢の物や酸っぱい柑橘類が苦手な人は避けるようにしたほうがよいでしょう。

集中して食べる

おしゃべりをしながら食事をするのは楽しいものですが、誤嚥のリスクが高い人にとって、「食べる」と「しゃべる」を同時に行うことは、かなり難易度が高いものです。

口の中に食物が入っているときに話しかけたり、こぼれたものを拾うように声をかけたりするのは避けた方がよいでしょう。

空飲み込みをしてもらう

食事の途中で、うまく飲み込めていない様子があったり、喉がガラガラいう症状があったら、一旦、箸やスプーンを置いて、落ち着いてから「空飲み込み」を試してもらうのがおすすめです。

空飲み込みは、「あー」と声を出してもらってから、意識してゴクンと飲み込んでもらうという、喉元に貼りついている食物を引きはがして飲み込む方法です。

空飲み込みをした後で、もう一度「あー」と声を出してみてもらい、ガラガラする音が無くなっていれば、上手に飲み込めたということになります。

口の中をきれいに保つ

口の動きが少ない人の口の中は、食物のかけらが溜まりやすいだけでなく、細菌も繁殖しやすい環境になっています。歯ブラシや口腔ケア用のスポンジなどを使って口の中をきれいにしておくことで、唾液を誤嚥しても肺炎にまでならないようにすることができます。

誤嚥予防で、生活の質を維持しよう!

飲み込みが難しくなると、食事の量が減り、低栄養や脱水の原因にもなります。全身状態が悪くなると活動量が減り、さらに、咀嚼力や嚥下力の低下につながるという悪循環につながりかねません。

誤嚥を予防して、おいしく食べて、元気に暮らしましょう。

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