夫の母・重度認知症のピチちゃんの介護の中で、認知症の人の行動で、周りを巻き込んで大変なことになるのは、火の不始末と迷子だと思っていました。
でも、物盗られ妄想が家族以外の人に向いてしまうと、それはそれで、大変なことになってしまいます。
ピチちゃん夫の「物盗られ妄想で怒鳴り込み事件」と、物盗られ妄想のある人の探し物を手伝う際のポイントについてご紹介します。
ピチちゃん夫「物盗られ妄想で怒鳴り込み事件」
ピチちゃん夫が、物盗られ妄想で知り合いの工務店に怒鳴り込んでしまいました。
ちょっと生々しすぎて、すぐには記事にできなかった1年前の出来事です。
キッカケは自宅の外壁工事
築40年近くなり、随分古くなった自宅。このところの暴風や大雪で外壁の傷みが目立ってきたので、業者に依頼して修繕したのが、ピチちゃん夫の物盗られ妄想のきっかけでした。
※外壁工事中は、飼い猫のなんちゃんが、ビクビク・オドオドしてかわいそうだった話はこちらです。
そして、工事が終わって2カ月もたってから、ピチちゃん夫の「物盗られ妄想で怒鳴り込み事件」が起きたのです。
自分の日記を見て思い込む
外壁工事から1カ月が過ぎたころ、ピチちゃん夫は、通帳や印鑑が丸ごとなくなっていることに気づきました。
この時点で「盗まれた」と思った、ピチちゃん夫は自分の日記を調べ始めます。
そして、「銀行に行った最終日から、通帳と印鑑が無くなっていることに気づいた日までの間に、外壁工事があった」という事実だけで、「外壁工事に入った業者が盗んだ」と結論付けてしまったのでした。
住所を調べて業者へ怒鳴り込む
思い込んだ後の行動は迅速で、すぐに工務店まで乗り込んでいきました。
その場を見ていないのでわかりませんが、決めつけて、かなりひどいことを言ったようです。
その工務店は、同じ地域にあり、子ども会などでつながりのあった方が社長さんでした。自宅に電話をいただき、「うちの会社にはそんなことをするような人はいない」「本当に困る」と言われ、平謝りでした。
「盗まれた」という思い込みは変えられない
ピチちゃん夫には、実の子供2人から話をしてもらいましたが、「盗まれた」という思い込みは変えられません。
納得してもらえないので、失くした通帳を再発行してもらう手続きに行くことになりました。
再発行してもらった通帳には、外壁工事前からの記帳をしていなかった間の入出金が印字されましたが、不審な出金の形跡はありませんでした。
でも、ピチちゃん夫の主張は変わりません。「日記に書いてある」ということだけが根拠です。
専門医で「認知症ではない」との診断が
保険証もなくしていたので、再発行してもらい、認知症専門病院を受診しました。半日かかりで、生活歴やテスト、CT検査などをして、出された診断は、「認知症ではない」というものでした。
付き添った私は、空目になって「正常な判断力があって怒鳴り込んだということですね?」と聞くと、精神科の先生はゆっくりとした口調で、「そういうことになりますね」と・・・
その後も広がる、物盗られ妄想
とりあえず、工務店への怒鳴り込み事件はひと段落しましたが、通帳の再発行に付き添った実の息子たちや、病院に連れて行った長男の嫁(私)に対して、「親の財産を狙っている」という妄想が始まりました。
それからも、ピチちゃん夫は、何度も通帳や保険証を失くしました。
通帳は、ゴミ屋敷のようになっているピチちゃん夫の部屋の畳の上に落ちていたり、かばんに入っていたりしました。
その度にピチちゃん長男・次男が通帳管理をすることを提案しましたが、火に油を注ぐように怒りだし、自分で管理することに執着します。
ピチちゃんの入所費用についても「家で(長男妻が)みれば金がかからない」、自分自身の生活費も「世帯主(長男)が出すのが当たり前」と・・・
もちろん、ピチちゃん夫自身がデイサービスを利用することなど、納得するわけもありません。
最近では、「通帳がある場所を知っているのは、お前らだけだから、無くなったらお前らが盗ったに決まっている」という謎の理屈を主張しています。
物盗られ妄想のある人への対応のポイント
物盗られ妄想は、介護を担っている最も身近な人に疑いをかけることが多いといわれています。
探し物を手伝う際のポイントは、次の3つ。
- 自分で発見させる
- しまい忘れたことを責めない
- 疑われた人は探す際に関わらない
とはいえ、ピチちゃん夫の物盗られ妄想と金銭への執着は現在進行形で続いているのでした。
(ホントニタイヘン)
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