耐震強度カエルくん|子どもがショックを乗り越えるまで

子育て+α

ククちゃんとカカちゃんが小学生のころ、大きな地震がありました。

神社やお寺など重たい瓦屋根の建物は全壊し、液状化で道のマンホールが飛び出し、自宅も被害を受けました。

遊びでショックを乗り越える

そんな時に、ククちゃんとカカちゃんが何度も繰り返していたのが、「耐震強度カエルくん」という遊びでした。

「耐震強度カエルくん」の遊び方

耐震強度カエルくんは、箱の上に積み木で家を作って、さらに、その上に薬局でもらったケロちゃん人形を載せて、ゆすって積み木の家を壊す遊びです。

車のおもちゃで遊ぶのが大好きなカカちゃんでしたが、地震の後は、延々とこの遊びを繰り返していました。

ちょうどそのころ、テレビで「耐震強度」という言葉が飛び交っていたので、名前を付けるのが上手なククちゃんが、この遊びを「耐震強度カエルくん」と命名。

残酷になっていく、ごっこ遊び

初めのうちは積み木の上に乗せられていたカエルくんでしたが、そのうちに、積み木の家の中に入れられるようになりました。

毎回、ククちゃんとカカちゃんの人工地震で、被害を受けるカエルくん・・・

救急車まで出動します。

遊びが本格的な実験に・・・

遊びはどんどん大がかりになり、積み木が箱になり、さらには、本物の家のように周りを本や箱で囲って、「屋根の重さで壊れ方が変わるのか」も実験していたようです。

揺らし方にもこだわりがあったようで、最終的には振動で運動する健康器具の上に乗せてスイッチオン。

かなり、精密な人工地震を起こすようになりました。

半年以上耐震強度カエルくんの遊びは続きましたが、2人とも大きくなって、いつの間にかしなくなっていました。

ショックを乗り越えた体験は、強く記憶に残るのかも?

カカちゃんが高校生になったのを機におもちゃ箱を片付けましたが、カエルくんは捨てないで飾ってあります。

今でも、ククちゃんとカカちゃんはカエルくんを見ると当時を鮮明に思い出すようで、「耐震強度カエルくん」ごっこの思い出話を盛んにしています。

怖い思いをした子どもたちのサインと、心の傷からの回復

大きなショックを受けた子どもが立ち直るためには、心の中に封印したトラウマを解消していくことが必要です。でも、無理に関わろうとすると、悪化させてしまうこともあるので注意が必要です。

子どものトラウマの原因と関わり方について解説します。

子どもが消化できない程怖いこととは?

子どもは、地震などの自然災害や犯罪、交通事故など自分の命に関わること以外でも、身近な人が暴力を受けたり、亡くなったりしたときに、目の前の現実を消化できずに心の中に封印してしまうことがあります。

トラウマになりやすい出来事

  • 自然災害:地震、台風、洪水、山火事、噴火など
  • 人的災害:交通事故、誘拐、殺人、火災、DV、虐待など

このような反応は、PTSDやトラウマといわれるもので、大人でも同様な反応が生じることがあります。

突然起きた、怖い出来事を理解の範囲を超えていたり、そのときの気持ちを言葉で表現できなかったりすると、心が消化不良を起こしてしまうのです。

間接的にトラウマになりやすい映像

さらに、まだ経験が少ない子どもは、ニュースや映画で見る衝撃的な映像からも、実体験同様の恐怖を感じてしまうことも少なくありません。

  • テロや戦争
  • 大規模火災や山火事
  • 津波や洪水

怖い思いをした子どもたちの「消化しきれない」というサイン

命に関わるような怖い体験をした子供は、しばらく不安定になります。

「怖い体験を消化できない」というサインは、その子によって異なりますが、以下のようなものがよく見られます。

  • 夜を怖がって寝付けなくなったり、夜中に目を覚ましたりする
  • 赤ちゃん返りなどの退行がみられる
  • 何度も、怖かったときの話をしたり、「もう大丈夫?」と聞いたりする
  • ビクビクする、感情の起伏が激しくなる
  • 安心できる大人に、まとわりついたり、ぐずったりといった試し行動をとる
  • 無口になったり、表情が乏しくなったりする
  • 落ち着きなく乱暴になる
  • 異常がないのに身体の痛みを訴える
  • 集中力の低下や学業不振
  • 怖い思いをした時間帯や曜日になると不安定になる

心の封印を解くのは慎重に

トラウマを心の奥に封印する理由は、「自分を守るために必要だから」です。

つまり、子どもでも大人でも、無理に封印を外そうとすることは危険だといえます。

安全が確保される|封印を外すために必要な条件1

その恐怖から、物理的な距離と時間的な距離が取れ、安全な環境に身を置くことが必要です。

距離が取れないうちは、感情を凍らせて、トラウマを封印しておくことが安全につながるからです。

安全が確保されていないうちに、無理に怖かったことを話させようとしたり、絵を描かせようとしたりするのは避けるべきだといえます。子どもが自発的に行った行動を受け止めるのは問題ありません。

受け止めてもらえる環境にある|封印を外すために必要な条件2

封印を外すと、恐怖を体験した際の生々しい感情がよみがえってきます。子どもの場合は泣いたり沈みこんだりするという表現だけでなく、妙に元気になったり、乱暴になったりすることもあります。

そのため、激しくしかられるきっかけになってしまうことも少なくないので、受け止めてもらえる環境であることも重要です。

子ども自身の準備ができている|封印を外すために必要な条件3

安全が確保されて、受け止めてくれる人がいても、成長発達の段階や性格によって、子ども自身がトラウマの基になった体験を受け入れきれないことがあります。

子どもの自発的な行動を観察しながら、時期を待つことも大切です。

大人はカウンセリング|封印を解いて、トラウマを消化する方法1

大人でも、封印を外すためにカウンセラーや精神科医などの助けが必要なことは少なくありません。カウンセリングルームや精神科、心療内科などでカウンセリングを受けます。もちろん、自分で文章にしたり、人に話したりしながら、自然に解消していける場合もあります。

子どもは遊び|封印を解いて、トラウマを消化する方法2

子ども達は、自分が受け入れられるギリギリのラインを測りながら、遊びで消化していきます。

特に災害など集団で体験した恐怖では、トラウマの原因となった体験を真似て、自然発生的に友達とごっこ遊びをします。この際に、その子どもによって、受け入れられる範囲が異なりますので、つらそうな子は逃げ場を作ってあげることが大切です。

ひとり遊びで行っている場合には、そっと見守り、遊びの結末が、あまり悲惨にならないように誘導してあげてもよいでしょう。

もしもの時に…子どもの心のケアのために (公益社団法人 日本小児科医会)

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