親に車の運転をあきらめさせるタイミング

介護

毎日のように高齢者が運転する車による交通事故ニュースになる中、「うちの親は大丈夫か」と不安を感じている人は少なくないのではないでしょうか。

実母と義父に運転をやめさせた体験と、親に運転をやめさせるタイミングと説得方法、必要な手続きについてご紹介します。

運転をあきらめさせるタイミング

まず、高齢になった親に運転をあきらめさせるタイミングと、説得方法を時系列でご紹介します。

高齢者講習の対象となったとき|運転を止める節目①

もともと運転に自信がないという親は、運転免許証更新の際に初めて高齢者講習を受けなければならなくなるタイミングがねらい目です。

高齢者講習は、運転免許証の更新期間満了日の年齢が70歳から74歳の人が、教習所に予約して受ける講習です。

  • 座学と運転適性検査(60分)
  • 実車(60分)

実際の運転も見てもらえますが、試験ではないので受けさえすれば終了証が発行されてしまいます。

「運転が好きではないが、仕方がなく乗っていた」「近所の人に送迎を頼まれ、事故を起こす不安を抱えながら対応していた」という場合などは、運転免許証を返納することを勧めると、ホッとした表情になって運転をやめる場合もあります。

「自ら運転面免許を返納する」という適切な判断ができるのは、70代前半、つまり最初の高齢者講習の際ですので、提案だけでもしてみてはいかがでしょう。

認知機能検査の対象となったとき|運転を止める節目②

運転免許証の更新期間が満了する日の年齢が75歳以上になると、運転免許を更新する際に認知機能検査が必要になります。この検査では、短期記憶と見当識を確認します。

この75歳以降の運転免許更新の際が、運転をやめさせる2つ目の節目になります。75歳を過ぎると、特に自分自身の能力に関することへの判断力が鈍っていきます。老いを受け入れたくないという気持ちから、運転に固執する場合もあります。

さらに、認知機能が関連すると思われる以下のような交通違反をした際には、免許の更新を待たずに認知機能検査の対象になります。

  • 信号無視
  • 指定場所一時不停止
  • スピード違反
  • 進行禁止違反
  • 進路変更禁止違反(無茶な車線変更)
  • しゃ断踏切への立入り
  • 交差点での危ない運転
  • 逆走
  • 徐行場所違反
  • ウインカーの出し忘れ
  • 安全運転義務違反

交通違反をして認知機能検査の対象になった場合は、実際に危ない運転をしているわけですから、運転をやめるように強く説得することが必要です。

車をぶつけたとき|運転を止める節目③

車に擦り傷がついていたり、へこんだりしていた場合には、どこでどのようにぶつけてしまったのかを確認することが必要です。ドライブレコーダーがついていれば、一緒に見ながら確認してみてもよいでしょう。

擦り傷やへこみが度々みられる場合には、安全確認ができていない可能性が高いですので、運転をやめるように強く説得することが必要です。

事故を起こしたとき|運転を止める節目④

ここまで、偉そうなまとめをしてきましたが、実母に対しても、義父に対しても、運転をやめさせることができたのは事故を起こした後でした。

義父(当時84歳)の場合

同居している義父は、一時停止義務違反で相手の車が横転してしまう大事故でした。現場に駆け付けた段階で、車を引き取りに来てくれた業者に処分してもらうようにお願いしました。(詳しくは下の記事で)今でも恨まれてますが、我ながら賢明な判断だったと思っています。

実母(当時81歳)の場合

実家の母は何度か車庫入れの際に車をぶつけることが続き、運転をやめることを数年がかりで説得していました。そんな時、車同士の接触事故を起こしました。お互いにけがはなく、私も後から聞いたので、車を処分することはできませんでしたが、1年かけてようやく車を手放させることができました。

2人とも、病院やスーパーが遠いわけでもないので、もっと早く運転をやめさせられればよかったのですが、なかなか難しいものです。

運転をやめた後の手続き

運転免許証の自主返納

運転免許は最寄りの交通センターで返納することができます。自主返納すると何らかの支援を受けられる自治体もありますが、まだまだ支援内容は多くありません。特に使いたい制度がなければ、免許の更新せずに自動的に失効させてしまうという方法でもよいでしょう。

車の名義変更

車を売却するのは簡単ですが、名義変更をして家族が乗るという選択肢もあります。ただし、同居の家族が乗って車が自宅にあるままだと、判断力が鈍っている人は辞めたはずの運転を再開してしまうことがあるので注意が必要です。

車の名義変更も自動車販売店に依頼することができますが、書類を整えて陸運局と自賠責保険の代理店に出向けば、自分で行うことも可能です。

まとめ

「運転をやめる」ということは、高齢者にとっても大きな決断です。「運転をやめると認知症が進んでしまうのでは」と心配するご家族もいるでしょう。

でも、人身事故を起こしてしまえば取り返しがつきません。

個人差があるので一概には言えないかもしれませんが、親が70歳になったら運転をやめさせることを考え始め、75歳を過ぎたら運転をやめてほしいことを繰り返し伝え、80歳を過ぎたら無理にでもやめさせるのが、「親に運転をやめさせる年齢の目安」なのではないかと思います。

義父と義母2人の運転をやめさせた経験から、簡単ではないことはよく分かってはいますが、

「親が誰かを車で傷つける」ことになる前に、運転を止めさせることが大切です。

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