ある継母のメルヘンが休載になっていた間に、この記事を書き始めていましたが、ようやく連載が再開しました!
前回は皇室からと思われる鷹のデザインの宝石が送られてきたところで、休載になりました。
再開後はシュリーがノイヴァンシュタインで当主教育を受け始めたころの記憶から始まります。
ある継母のメルヘンには、たくさんの伏線があり、回収されているのか、されていないのかがわからないものも多くあります。
大きな謎として、次の3つが挙げられます。
- 複数の女性たちの死因や体調不良の原因
- リシュリュー枢機卿がシュリーに執着する理由
- ヨハネスが何をしようとしてシュリーを選んだのか
今回は、皇室に近い女性たちがなぜ病弱だったり短命だったりするのかについて考察していきます。
緑色の文字は2023.12.3時点の推測です。間違っていたらごめんなさい。
ルドヴィカ前皇后に関する情報統制と死因
幼いテオバルト皇太子が母であるルドヴィカ前皇后の面影を探す場面があります。
母についての語られることは、「美しく 気品に溢れ 皇后としての役割を果たされた女性」の定型文のみ。
しかし、リシュリュー枢機卿だけはルドヴィカ前皇后について否定的なニュアンスを含ませます。
皇太子殿下の産みの母親であり 子爵家出身でありながら皇后となって 世間を騒がせた方です
ある継母のメルヘン 第64話 エピローグ8. テオバルトの話 リシュリュー枢機卿がテオバルト皇太子にした母の説明
回帰前のシュリーも、死後、それまでの悪名が消え「最も高貴であった女性 誰よりも無欠な神の娘」と称されるようになります。前皇后とシュリー、いずれの場合も死と共にその存在が記号化されてしまうのです。
教皇庁の「発言する女性」に対する嫌悪
シュリーが当主代理として議会に参加することに強い抵抗があったことが、94話記憶(2)で描かれます。
また、シュリーが議会で発言することについて、リシュリュー枢機卿は次のように語ります。
「女は静粛であれ」「教会の中では語らず 学びたくば家で夫に尋ねよ」
全能たる神の加護の下 2つに分かれた我々は 各々が与えられた義務に経験に従うことによって 帝国の基盤を作り上げてきました
ある継母のメルヘン 第28話 冬を越えて(15) リシュリュー枢機卿の言葉
この際に、リシュリュー枢機卿の弟子が「今後さらに出しゃばってきたらどうなるか…前皇后のときも」と口を滑らすのです。
これらのことから、この世界では、自分の意見を述べる女性は、神の名の下に教皇庁によって消され、理想の女性であったように書き変えられて伝えられるのだということが分かります。
4人の実母アリーチェも毒殺された可能性が
ライヒ家から嫁いだヨハネスの最初の妻アリーチェは、女性の戦士です。
お前の母アリーチェは 平野をかける姿が最も光り輝く人だった
どこまでも広がる草原の中で馬の上に乗ってこそ 息をすることができるのだと言っていた
しかし帝国領土の戦争が その光を奪ってしまった
ある継母のメルヘン 第24話 冬を超えて(1)ヨハネスがジェレミーに話した言葉
この場面では、戦争でケガをして松葉杖を使っているアリーチェの姿が描かれています。
しかし、エリアスの記憶では、母アリーチェの部屋に潜り込んでいたエリアスに病気が感染したのではないかと、周りが心配する場面があります。最終的な死因は原因不明の病気だった可能性があります。
アリーチェは、毒などを使って殺された疑いが濃厚であるといえるでしょう。
ライヒ家の没落の理由
アリーチェの母であるライヒ夫人は、「女の身で将軍のように世を従えていた」(第51話)戦士でした。そして、実力があれば女性の騎士も登用していました。
どこまでも純粋に 強さを重んじるライヒ家に引き取られたおかげじゃないか
普通の女と同じように生きる代わりに ずっと剣を握ることができていたのも
アリーチェ奥様が結婚と同時に ヨハネス前侯爵様に私を推薦してくださったおかげで
ある継母のメルヘン 93話2部28話 記憶(1)エヴァレットの言葉
ライヒ家は「女が出しゃばらない」という神の教えを遵守していないと捉えられ、教皇庁による陰謀が働いたのかもしれません。
帝国の名前は「カイザーライヒ大帝国」です。もともと、帝国はライヒ家がおさめていたのかもしれません。このあたりの謎は、また後日改めて考察したいと思います。
ハイデが病弱な理由
ノラの母、ニュルンベル侯爵婦人ハイデの身体が弱いのは偶然なのかも疑問です。
「現皇后と紅茶を楽しむ」という話題で、ハイデが悲しげな表情になる場面があります。(第20話)
ルドヴィカ前皇后と友人であったことから、前皇后が殺害される際に一緒に毒を摂取してしまった可能性も考えられます。
…私も…行ったことがあるの 多くの視線と判断が降り注いで
味方なんて誰1人いない孤独感
侯爵夫人はきっととてもお辛いはず…
ある継母のメルヘン 第49話 守護者(8)ニュンベルン婦人のノラへの言葉
ジェレミーの裁判の際に、ノラにシェリーを見守りに行くことを進めたときのハイデの言葉です。
ルドヴィカ前皇后が毒殺された際に、ハイデが疑われて裁判になったのかもしれません。
また、病弱なハイデは薬に詳しく、はしかにかかったジェレミーのお見舞いに異国の薬を贈っています。
エリザベート現皇后に健康不安がないのは、お茶を楽しむ際にハイデが解毒剤などの何らかの対処を任されているからであるという可能性もあります。
ヨハネスは毒殺された?
連載が再開された94話では、ヨハネスが血を吐きながら「まだ死ぬわけにはいかない」とつぶやく姿を、黒い影に目だけの人物がじっと見つめている様子が描かれます。
この人物がヨハネスを死に導いた可能性は高く、遅効性の毒物を使ったのではないかと思われます。
ヨハネスは「慣習にとらわれない柔軟な思考」で成功を収めてきました。
実力があれば女性騎士を受け入れ、外国の文化も取り入れます。
多様な考え方を容認するヨハネスは、「教皇庁の敵」と見なされたのかもしれません。
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